約 1,780,297 件
https://w.atwiki.jp/sioni/pages/30.html
/, -=ァ `\ /  ̄ ̄ ̄`ヽ . // /. . . . . . -. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ヽr/. . -=ミ . . . . . . . .'. / / / / \- }} . . . . . . . . . . . . i / / / / / / / { ヽ ヽ V ハ i. . . . . . . ヽ | . ,' / / 〃 / / ! /| | } } }} ∨ l . . . . . . . }. | | /| / {{ 7 丁 j l`ト l ヽ‐十 ト リ ,' ヘ l. . . . . . . . ! | ∨ l| ,'{ 从 |∨ヽ八 { \{ ヽ\{Ⅵ ∧/ l } l. . . . . . . . ! | . | ハ Ⅵ { イ圷示 'イ圷示j/ / /j/ l . . . . . . . . ! | ', l.ハ ヘ| 小 ゞ=' ゞ=' ヾ / /} l l . . . . . . . ! | \{ \{| 八 j 彡イレ | l l . . . . . . . ! | { ヽ. ー 一 /' ,' | l l. . . . . . . . ! | ヽ { `ト、 イ / / | l l . . . . . . . ! | >く/`=≧-z≦=|`∨ / ! l l . . . . . . . ! | -―――‐'´/ { /^\. } /く `ー- L _ l . . . . . . . ! | 〃 . . . . . . . . / | /ミ{^}彡, | ヽ . . . . . . .  ̄入 . . . . . ! | ∧ . . . . . . . ./ Ⅳ/∧\.Ⅵ ', . . . . . . . ./ . |. . . . . . ! 高町 なのは 年齢 26歳 性別 女 種族 人間 性格 明るくて魔王 政治、知識能力 頭の良さ 知的 政治基礎 普通 経済 音痴 外交 普通 経済政策方針 知らないの!! 軍事政策方針 核で武装したいの!! 教育政策方針 少し厳しくしつけるの!! 外交政策方針 極右なの!! 屍(ゾンビ)政策 フェイトちゃんの思うがままにすればいいと思うよ。 その他 もともとは政治家だったが派閥争いに負けたて下野した。 経済音痴である
https://w.atwiki.jp/godzillatuyosa/pages/39.html
2016年公開「シン・ゴジラ」に登場した怪獣ゴジラ。 + 戦闘能力 ①格闘 身長118.5m、全長333m、体重92000tの体格を持つ。 歴代最強クラスのパワーだと書かれた資料が存在するが、実績不足なため現在は体格等を考慮し、VSゴジラと同等のパワーだと見積もられている。 移動速度は時速10.5kmと極めて遅い上に腕も小さいが、近接戦では噛み付きや尻尾を用いることがある。 ②使用技・能力 放射線流 300m程度の距離ならば80m前後のビル数棟をまとめて一瞬で融解する熱量と、熱による補助が低い場合でも超高層ビルを0秒で貫通する貫通力を有する。 正面なら尻尾からの放射も含めて2本、背後からなら約20本の同時照射が可能で射程は10km以上と非常に長い。 中断無しで60分以上の連続照射が可能だが、連続で吐き続けるとガス欠のような状態になる。 フェーズドアレイレーダーのような機関を搭載しており、空中を飛ぶ者は意思に関係なく自動的に迎撃する。 苦しみもがいている状態でも吐くことが可能だと考えられている。 体内の熱量が小型原発並みだとされる資料が存在するが、詳細やどう扱うかは不明。 レーダー機能は体表面からの電波の送受信によるもの、また体内に生体原子炉があるという設定や、体内の核融合システムも電気を利用しているという仮説による設定がある為、EMPや磁気異常を起こす怪獣に対しては不利になる可能性を指摘されている。 耳が無いため聴力は無い。 ③耐久力 タバ作戦時は戦闘ヘリの機銃や多数のミサイルまではまったく効果がなかった。 頭部と脚部を狙った10式戦車の一斉砲撃で進行速度が鈍り、MLRSでは反応はしないものの進行を停滞し、JDAMによる爆撃で目に瞬膜のようなものを張り防衛し、進路を変えた。 大型貫通爆弾MOPⅡの4発の直撃では表皮を突き破られ出血や組織が散らばるなど負傷し、しばらく咆哮などで怯んだ後にもがき苦しんだ ガス欠状態に数十万トンを超える高層ビルによる質量攻撃を受け5分程度行動不能になる。さらに凝固剤による効果が出た後に無人在来線爆弾の接近に対応できず直撃を受け15分行動不能になった。 現状では貫通耐性はミレゴジ程度、熱耐性、物理耐性は体格相応と見積もられている。 痛み耐性は感情がなかったり、高層ビルの崩落時でも最後の咆哮を除き痛がらなかったため歴代ゴジラの中では上位とみなされる。(MOP2による咆哮は、痛みではなく体内の核エネルギーシステムの変調によるものだとされる) 回復能力は高く、MOP2による損傷も10秒未満で回復しており、体を欠損するような大きな損傷でも30秒程度で復帰する可能性があると考えられる。ただしガス欠状態や気絶状態はこの限りではない上に、体内のシステム面においてはこれほど速くはないとされる。 生命力は非常に高く、凍結した状態でもいまだ生存しており、最終的な解決には細胞レベルの根絶が必要だという設定がある。 ④技巧 空中の存在は無条件で、地上の存在は敵認定した後に排除する。それ以外は無関心。 接近する飛行物はすべて撃ち落とすことを人類側に利用され、囮の無人機に1時間放射線流を撃ち続けた結果、一時的にガス欠のような状態に陥ったため、知性は低いとされる。 エネルギーの温存を考慮せず全力で攻撃を行っている点から敵と判断した対象へは高い攻撃積極性を発揮すると考えられる。 感情が無く機械的なため油断や手加減といった不利になる要素が発生しない。一方で感情による能力上昇といった補正は見込めない。 + 対戦怪獣 なし + 他怪獣との比較
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/679.html
魔法少女リリカルなのはBR Stage01 ファイナルゲーム ◆19OIuwPQTE /01「決死の一手」 少し遠くで激しい戦闘音が聞こえる。 確認するまでもなく、なのはとキングが戦っているのだ。 それに引き摺られるように、仮初めの世界が鳴動する。 その振動でヴィヴィオの首筋に当てられた真紅のレイピアが僅かにぶれ、出来 た傷から血が一筋溢れる。 ユーノは思わず駆け寄りそうになるが、辛うじて自身を押し留める。 「どうした、応えられないのか?」 「………………ッ!」 そんなユーノの様子などお構いなしに、金居は答えを要求する。 ユーノは拳を握り、歯を食いしばる。 そして搾り出すように、ゆっくりと答えた。 「…………僕たちはこの【E-5】にあると思われる、“参加者を望んだ場所に転 移させる魔法陣”を使って脱出を考えていた」 その話し方から、ユーノが時間を稼ごうとしている事を、金居には容易に推測 できた。 だが金居は、ユーノが喋っている間は待ってやってもいいと判断した。 「もちろん、その魔法陣がまだ残っているとは限らないし、あったとしても脱 出に使えるかどうかは判断がつかない。 それにもし脱出できたとしても、僕たちは首輪から解放されてずいぶん経っ ている。 当然、危険な罠だって用意されているはずだ」 その理由は、絶対的優位から来る余裕。 もとよりヴィヴィオを捕らえている限り、脱出に関する利は金居にある。 「それでも、僕達にはこれしか方法がなかった。 たとえどんなに部の悪い賭けだろうと、どんなにリスクが大きかろうと関係 ない。 僕たちは絶対に諦めない、最後まで足掻き続ける。そう誓ったからね」 それに自分はアンデット。何が起こったところで、容易に死ぬ存在ではない。 故に金居は、僅かでも情報があればいいと、ユーノを止めることをしなかった のだ。 「だから僕たちはここに来たんだ。 このエリアの何処かにある魔法陣を見付け出して脱出をするか、それが出来 なくても何かの助けになればいい、そう願って調査・解析するためにね」 そしてそこまで聴いて金居は、少しだけ襲撃を早まったか、と思った。 金居(ついでにキング)は一度、八神はやてと共に魔法陣による転移を経験し ている。 つまりその場所も、その有用性も知っているという事だ。 だが自分たちは魔導師ではない。 つまり魔法陣を起動させることは出来ないということだ。 だがあと少し襲撃を遅らせていれば、ユーノ達を誘導し、魔法陣を起動させた ところで、シルバーケープを使って紛れ込むなり、無理矢理便乗する事も出来 たかもしれない。 そうすれば、たとえ転移に失敗しようが、転移した先に罠があろうが関係ない。 もし失敗しても、その時はその時。予定通りに行動すればいい。 それに自分たちはアンデッド。 たとえどんな罠があろうが、この会場から出てしまえば決して死なないからだ。 だが、それほど深く考えることでもない。 何故ならここには、二人も魔導師がいる。 なのはの方はキングが殺すだろうから使えないが、魔法陣を起動させるだけな ら一人だけでも十分すぎる。 従わなかった時は、殺せばいいだけだ。 金居はユーノの話を、そう結論づけた。 「それで話は終わりか?」 「残念ながらね……」 「そうか。 ならばついて来い、お前たちには魔法陣を起動してもらう。魔法陣の場所も 知っている」 「――――――ッ!」 「もっとも、何かの隙に反旗を翻されても困るのでな。可能であるのならば、 いつでも起動可能なようにしてもらう。 無論、拒否すれば殺す」 「わかった」 金居はそう言うと、ヴィヴィオに刃を当てたまま、魔法陣のある場所へと歩き 出した。 その時金居は、妙に物分かりの良いユーノに僅かな疑念を抱いたが、どうでも いいことと捨ておいた。 それが、ユーノの決死の策の、微かな失敗と気づかずに。 /02「エースオブエース その手の魔法」 地面に膝を付き、肩で大きく息をする。 対する相手は、傷一つなく、息も乱れた様子がない。 自らを最強と自負する敵――キングは、その言葉通りに圧倒的な力を持ってい た。 最強となるのに、複雑な技や入念な策などいらない。 すべてを砕く剣と、すべてを防ぐ盾があればいい。 キングの所有する最強とは、つまりそういう類のものだった。 その剣は、まともに受ければなのはのシールド魔法であっても容易に砕いた。 その盾は、なのはの砲撃魔法を防ぎきり、キングの死角からの攻撃にも対応し た。 かと言って、より強力な砲撃を行おうと足を止めれば、念動力でレイジングハ ートを奪おうとしてくる。 剣技自体はそれほどでもなく、遠距離攻撃にも乏しいのが救いといえば救いだ が、それでもその攻撃は苛烈だ。 防御し続ければ、容易に魔力を削られるので、回避するしかない。 それでも何度か攻撃は通っていた。 なのはが見つけた、キングの盾のただ一つの隙。キングが剣を振るって攻撃す る瞬間の、その剣筋のライン。 いかなる理由からか、そこにだけは、盾によるオートガードが発生していなか った。 なのははその僅かな隙に、幾度もシューターによる攻撃を行った。 だがその効果は薄く、ダメージを受けた端から再生していく。 今でこそ直接的な傷はないが、バリアジャケットはすでにボロボロだ。 このままでは、いつか決定的なダメージを受けてしまうだろう。 『大丈夫ですか、マスター』 「大丈夫、とは言いえないかな」 むしろ最悪と言ってもいい。 こちらの攻撃は殆ど効かず、あちらは一撃当てればそれだけで優位になる。 そうなる前に、どうにか効果的な一撃を当てなければならない。 「やっぱり、あれしかないかな」 『現状ではそれしかないでしょう』 「剣を交わしてその隙に砲撃を撃つか」 『盾の張れない零距離から、やはり砲撃を撃つ、ですね』 だがそれは、どちらもキングの剣を避けきることが前提となる。 なのはのバスターはその性質上、どうしても撃つ時に足を止めなければならな い。 もし砲撃を躱されたり、逃げる時間を稼げるだけの効果がなければ、その瞬間 にキングの剣がなのはを捉え、殺されるだろう。 だが、躊躇している余裕もない。 魔力には限りがあるし、倒すべき敵もまだいる。 さらには残された時間もあと僅かしかない。 なのはは少しでも可能性を上げるために、“最後の切札”の使用を決意する。 立ち上がってレイジングハートを構え、キングを睨みつける。 応じるように、キングも一歩ずつ踏み出してきた。 そしてここまで頑張ったなのはに、彼なりの賞賛を送った。 「さすが最強のエースって呼ばれるだけの事はあるね。まさかここまで粘るな んて。 けど、本当の最強は君じゃない、この僕だ。 だからさあ、早く死んじゃってよ」 その言葉になのはは、キングが優勝するために戦っているのではないことを知 った。 キングは、ただなのはが最強と呼ばれているのが気に入らないだけなのだと悟 った。 そして感じたのは落胆と、激しい怒り。 そんな事のために二人を殺したのかという、憎悪にも似た感情だった。 だからその間違いを正すように、自らの考え、あるいは感情を口にした。 「…………くだらないよ、そんな事」 「ん? なにか言った?」 「くだらないって言ったの。 誰が強いとか弱いとか、どっちが最強だとか。 私にはどうでもいい事でしかない」 「……なんだって?」 それは、キングにとっては信じられない言葉だった。 思わず自身の耳を疑い、なのはへと訊き返す。 「それは、一体どういう意味なのかな」 「言葉通りの意味だよ。 私は別に、自分が最強だなんて思ってないし、最強になりたい訳でもない。 私はただ、誰にも悲しい思いをしてほしくなかった。 私の知りうる限りの世界では、みんなに笑顔でいて欲しかった。 だからせめて、自分の手の届くところに居る人たちだけは助けようって、一 生懸命に頑張っていたの。 そうしたらいつの間にか、最強のエースオブエースだなんて呼ばれてただけ」 もともと「高町なのは」という少女は、どこにでもいるような、人より少し優 しいだけの女の子でしかなかった。 彼女が魔法を手にした理由ですら、偶然彼女に魔法の素質があり、偶然ユーノと出会い、そして必然的に彼女は、自分に出来ることをしようとしたに過ぎな い。 「私はね、みんなが笑顔でいてくれるのなら、強くなんかなくていい。 みんなが幸せでいられるのなら、世界で一番弱くたってかまわない」 「……………………」 それはつまるところ、この戦いにおけるキングの理由の全否定。 もしキングが「僕が最強でいいよね」と言えば、なのはは「うん、いいよ」と 返すだけの、無意味な独り相撲でしかなかった。 だが、なのはにとって、この戦いの理由は違った。 「この手の魔法は、悲しみと涙を撃ち抜く力。 泣いている人たちが、笑顔になれる場所まで導く翼。 だから、笑いながら平気で人を傷付けるあなたなんかには、 絶対に負けないッ!!」 なのははただ、キングが許せないだけ。 キングかこれまでにしてきた非道に怒り、 これからもするであろう凶行を阻止しようとしているだけだった。 「…………もういい。君、つまらない」 「ッ…………!」 キングはその事実を理解すると同時、心の内に在った熱が冷めていくのを感じ た。 後に残ったのは、怒りにも似た嫌悪感。 どうしてこんなヤツが、最強の称号を持っているのかという、拒絶にも似た感 情だった。 キングが気だるげに足を踏み出す。 そこには先ほどまでの、“遊び”に対する気の緩みはない。 普段キングは、その圧倒的優位な状況から、相手をなぶる様に戦う。 そのキングが、今度は自分から動く。そこに如何なる差異が生じるのか。 それを見極めるため、なのはは限界まで集中力を高めていく。 「こんなつまらない戦いなんか、早く終わらせよう」 「レイジングハート! ブラスターシステム、リミット1、リリース!!」 『Blaster set.』 “最後の切り札”の一枚目を切り、不屈のエースオブエースは、最後の死闘へ と赴いた。 /03「反撃の時」 「ここだ」 周囲には粉砕されたコンクリや亀裂の走ったアスファルト。目の前には『魔力 を込めれば対象者の望んだ場所にワープできます』と書かれた看板。 金居が案内したそこに、目標とした転送用の魔法陣があった。 「さあ、とっとと起動可能にしろ」 「……わかりました」 だが、その感慨にふける間もなく、金居が魔法陣の起動を急かす。 ユーノは言われたとおりに魔法陣に魔力を流し込み、同時に“解析”を掛ける。 そして魔法陣の緑色の光がある程度強まった頃、ユーノが口を開いた。 「駄目ですね、この魔法陣はある程度魔力を注ぎ込めば自動で起動するタイプ で、待機状態にする事は出来ません」 「そうか」 その事に金居は僅かに落胆するが、もともと魔法陣を待機状態にするのは保険 であり、出来なかったところで、さしたる問題は無かった。 「なら―――」 「ああそうだ、一つ言い忘れてた事がありました」 ないと思うが、そのまま魔法陣を使われて逃げられても面倒だと、ユーノに魔 法陣から離れるように言おうとして、その直前でユーノに口を挟まれる。 その事に僅かに苛つきながらも、その言い忘れた事とやらを聞く事にする。 その理由は先ほどと変わらない。 つまりは“余裕”からだ。 「何だ、言ってみろ」 「はい、わかりました。 これは直接的には、脱出とあまり関係がありませんけど、それでも言ってお きます」 だがその口ぶりから、金居はユーノへの警戒を僅かに強める。 ユーノは魔法陣へ手を当て、金居に背を向けたままだ。 「このデスゲームにおいて僕たちは、首輪と言う制限か掛けられていました。 と言うより、首輪があったからこそ、このデスゲームが成立したと言っても 過言ではありません。 ですがこの首輪は、ある時期を境に、容易に外せるようになってしまいまし た」 それは今この会場に生き残っている人間なら、誰でも知っている事だ。 それをなぜ今さら語るのか。 「その時期とはおそらく、第四回放送。 向こうに何か事情があったのなら、前回と同様代理に任せればよかったはず です。 それなのに、何故か十分遅れでプレシアが放送したあの時からでしょう。 僕たちは、あの時点でプレシアがこのデスゲームから去った可能性があると 考えました」 「そんな事は俺も気付いている。それがどうしたと言うんだ」 「それは即ち、このデスゲームの破綻を意味しています。 その理由は、一度放送の代理を行った人物です。 彼女たちはナンバーズと呼ばれ、様々な能力を有しています。 おそらく十分遅れの放送を行ったのも、変身能力を持つ彼女の姉妹でしょう」 「だからそれが何だと言うんだ。 無駄口を叩くだけならば今すぐにでも殺すぞ!」 ユーノの回りくどい言葉に、金居は段々と苛立ちを募らせていった。 だがそれさえも、ユーノの決死の策の一つだった。 「問題は彼女たちの背後、創造主とも言える人物です。 名前はジェイル・スカリエッティ。 研究者でもある彼の目的はおそらく、このデスゲームに使われた技術でしょ う。 そしてプレシアを退場させた時点でスカリエッティの目的の前提条件はク リア。 後は早々に離脱するだけ、長居をする必要なんて何処にもない。 証拠となるモノを処分して、さっさと退散すれば良いだけです」 そこまで聞いて、金居にもユーノの言いたいことが予想できるようになった。 そしてそれと同時に、内心に僅かな疑念と不安、強い焦燥が湧きあがり始める。 「目的を達成した時点で、彼にとって僕たちの結末はどうでもいいでしょう。 そして、ここが人工的に作られた世界であるのなら、その破棄は容易です。 この世界を構成するにあたって核となるモノを、停止か破壊すればいい。 そうすればこの世界は自動的に崩壊し、後には何も残らない」 世界全体が鳴動している。 心なしかそれは、先ほどよりも大きく聞こえた。 「……お前は、何が言いたい」 「タイムリミットですよ、このデスゲームの。 僕たちが考えたゲーム終了のリミットは約一時間。 次の放送までです。そして―――」 否。それは気のせいではない。 確実に、そして着実に大きくなっていく。 そしてユーノは、己が策の成就を宣言した。 「そのリミットは、もうすぐだ」 瞬間。 一際大きな振動が、仮初の世界を揺らした。 その振動によって金居は、僅かに体勢を崩す。 それと同時、ユーノが光と共に消えた。 「転移か!」 そう判断した金居は、ようやくユーノの策に気付いた。 彼はずっとこの機会を待っていたのだ。 そして自分は、ユーノの策にまんまと乗せられたのだと気付いた。 次にどこに逃げたのか、何故ヴィヴィオを平気で見捨てたのか。 そう考え、再び訪れた振動に足を取られる。 その直後だった。 「ケリュケイオン!」 『Set up.』 背後から逃げたはずのユーノの声がした。 思わず振り返り、同時に抱え込んだヴィヴィオの体が光る。 その光に一瞬眼が眩んだ。 瞬間、警戒の薄かった真正面から身体を断ち切られた。 「グウッ!?」 『Plasma Smasher.』 「――――――ッ!!」 痛みに耐えながら、即座にその方向へとレイピアを振るうが、ゼロ距離から放 たれた砲撃魔法によって吹き飛ばされる。 大したダメージはない。即座に体勢を立て直し、襲撃者を睨みつける。 そこには黒い戦斧を構え、自分のデイバックとシルバーケープを抱えたユーノ。 隣には何故か服装の変わったヴィヴィオがいた。 「ッ!! 逃がすか!!」 金居は即座に赤いレイピアで斬りかかる。 だがアンデッドに変身していない金居では、その行動は僅かに遅かった。 ユーノはシルバーケープを着こみ、ヴィヴィオを抱えると、 『Sonic Move.』 その音だけを残して消え去った。 遅れてレイピアが空を切る。 金居は振り抜いた姿勢のまま動かない。 この結末の理由。 それはこの事態を予想していた者と、そうでない者の、心構えの差だった。 「くそぉ!!! 次は殺すッ!!」 近くの瓦礫へと、力の限りレイピアを叩きつける。 行き先は簡単に予想が付く。 金居はアンデッドへと変身し、彼らが向かうであろう場所まで駆けだした。 「ここまでくれば、とりあえずは大丈夫か」 バルディッシュによる高速移動を解除し、岩陰に隠れる。 その際、シルバーケープによる光学迷彩も一緒に解除する。 「ヴィヴィオ、怪我は大丈夫?」 「大丈夫。でも私よりユーノさんの方が」 「僕だって大丈夫だよ。こんな傷、スバルや天道さんの受けた痛みに比べれば、 どうって事ない」 そう言うユーノの肩口は、明らかに血で滲んでいた。 これは不意打ちを行った際に受けた傷だった。 先の不意打ちにおいて、重要な役割を担ったモノが三つあった。 それは「念話」と「バリアジャケット」、そして「会場の崩壊」だ。 本来リンカーコアを持たない者に、念話もバリアジャケットの装着は行えない。 だが、ヴィヴィオには疑似リンカーコアが残っていたおかげで、一応だがそれ らの行使が可能だった。 更にユーノは、魔法陣を調べた際にそれを通じて会場の状態を“解析”し、崩 壊が起こり始めるおおよその残り時間を割り出したのだ。 結界魔導師であり、スクライアの一族として幾つもの遺跡を発掘した事のある 彼にとって、それは容易な事だった。 そして念話によって彼らは、金居に知られる事なく奇襲を計画する事に成功し たのだ。 後は会話によって金居の注意をヴィヴィオから外し、 転移によってユーノが逃げたと金居が誤解したところを不意打ちし、 バリアジャケットを装着する際の一瞬の光を目くらましに利用したのだ。 「ヴィヴィオ。僕はソニックムーブでの移動に専念するから、君は金居のデイ バックから使える物がないが探してくれ。 可能な限り揺らさないようにするけど、一応ヴィヴィオも気をつけて」 「うん、わかった。ヴィヴィオ、頑張る」 「ありがとう、ヴィヴィオ。 バルディッシュ、頼んだ」 『Yes, sir. Sonic Move.』 目的地はなのはの元だ。 キングと金居が組んでた以上、なのはを一人にしておくのは危険だと判断した からだ。 もし金居がなのはの元へ向かった場合、あの強敵相手に二対一となってしまう。 それでは流石のなのはでも勝ち目が薄い。 だから、たとえ戦力にはならなくても、足止めくらいにはなってみせる。 心の内で、ユーノはそう決意した。 ヴィヴィオを所謂お姫様抱っこで抱え、再びバルディッシュによる高速移動を 再開する。 その直前、ユーノは抑えきれない感情を呟いた。 「なのは、無事でいてくれ」 Back Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) 時系列順で読む Next 魔法少女リリカルなのはBR Stage02 心の力を極めし者 Back Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) 投下順で読む Back Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) 高町なのは(StS) Back Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) ユーノ・スクライア Back Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) ヴィヴィオ Back Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) キング Back Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) 金居
https://w.atwiki.jp/godzilla4/pages/47.html
メカゴジラが大当たりを目指すリーチ。 発展や2R当たりはない模様。 リーチ発展パターン ・防衛軍リーチでメカゴジラ選択 ・大怪獣チャンスでメカゴジラ選択。またはゴジラ・モスラ選択の一部 リーチ中のチャンスアップ 紹介プレート 青<赤<星柄<虎柄 ヘリの色 通常<赤 スカルハニー出現で当確 横切る機体 なし<戦闘機1機<戦闘機5機
https://w.atwiki.jp/yaruwiki2/pages/31.html
注:頼られない教師の図 / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . -――- - 、 \. / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヽ、 . . \ .ヘ ヽ / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . l . . . . . . . . . ヽ . . . . \ . . \ ヽ | | .\ ./ . . . . . . . . .l . . . .| . . . l . ハ . ヽ .ヽ . . .ヽ . . . . . \ . 丶 .i | .ヽ . i . . . . . . . . . .| . . . .| . . . .| . | ヽ . i . .i . . | \ . . . . . ヘヽ .ヽ. | . | . .ヽ| . . . . . . . . . ! . ._7t .-十 i i .i|´丁`i . .| .ヽ . . . ヘ丶 .i l .ヽ . . | . . . . . .| . . 匕 チ | .≠.l/ ||,イう。,/ .! | . . ヽ . . . i ヽ ヽ .ヽ .| . . . . .メ´ || .yヒて个/ / .{ j."i/| | . . .|.i . . . | ヽ ./=ヽ .| . . i . i,イ7 ゚ | b y / .l/ |i . .i .| . . | ゝ .个 . . ヽ|ヽ らツ少  ̄ | . i .||| . | | . | \ .| . . |\\. ゝ¨ 、 . | . .| .| | .| | | ヽ . . | イ| . | ヘ/ | ヽ .ヽ. ` ´ / . .| / . .ヘ 丶 .丶> 、 イ、 . . / . ヽ .ヘ \ミ ` ≧´ !\ . . . .丶 ヘ , .|ヽ >< / .i `>x.ヽ ヘ ,、r´ / | ‐、´ / | `ヽ 、. ,、r´ / |/ - \ . / | `ヽ 、 ,、r´ / ./└t┘ ヽ./ .ト、 `ヽ、 / / /|./ Ⅹ.ヽ ヽ >┘ \ / |╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋【なのは】……一体どうやってLv7まで……╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3185.html
それは本当に唐突な襲撃だった。 駐屯するホールド部隊の陣営へとふらりと現れ近付いてくる人影。 それを最初に見つけた隊員は、まるで幽鬼のようにたった一人で黙々とこちらの陣営へと足を踏み込んでくるその男を見て言葉を失った。 その隊員は先遣部隊に所属し、何とか軽傷で難を逃れた一人だったのだが、やはり肉体的な負傷よりも精神的な負傷の方が重く、それ故に先の襲撃はトラウマにもなっていた。 そんな中でその襲撃を仕掛けてきた当人……NP3228が再び戻ってきたのだ。恐怖が再発し絶叫を上げたとしてもおかしくはない。 駐屯地に響く隊員の叫びは、瞬く間に何事かと部隊全体に混乱と動揺、そして警戒を生み出す。 だがそんな慌ただしく動き出すホールドの部隊に対しても、獣はただ容赦なく破壊の限りを尽くさんために動き出していた。 まずはこちらを最初に発見し叫び声を上げた隊員、これをカズマはシェルブリットを纏った拳で容赦なく殴り飛ばす。 潰された蛙のような呻き声を上げながら殴り飛ばされた隊員はそのまま背後の装甲車へと直撃していたが、そんなものを最後まで確認するはずもなく次の行動へと既にカズマは移っていた。 ドタドタと騒がしい足音を立てながら駆けつけてくるホールド隊員たち。カズマは拳で地面を叩き跳躍しながら、彼らが密集するど真ん中へと着地する。 突如、自分たちの懐に詰め寄ってきたカズマに隊員たちは同士討ちを恐れて小銃を咄嗟に向けながらも発砲出来ずに躊躇う。その隙を突いてカズマは手当たり次第に連中を殴り、蹴り、叩き伏せていく。 喧嘩で鍛えたステゴロの体術と言えど、シェルブリットを纏っている拳もある。隊員たちは近接戦に対応する前に次々と薙ぎ倒されていく。 とりあえず手の届く範囲内に叩きのめせる対象がいなくなったことを理解したカズマは、次に漸く動き出し始めた装甲車やトレーラーに向かって今度は挑みかかる。 備わっている銃口が火を吹く前に、また火を吹こうが潜り抜け、迫る弾丸を右腕で弾き飛ばしながら、カズマは装甲車に接近すると共に容赦なく拳を叩き込む。 強固な装甲車の装甲がまるでチャチなプラスチックのようにカズマの拳を叩きこまれて凹んでいるが、決して装甲が脆いわけではない。むしろ感情の昂ぶりで強度の上がっているシェルブリットの拳の威力が異常なのだ。 力任せに装甲車の装甲を引っぺがし、その装甲を銃を構えてこちらを狙っているホールド隊員たちへと投げつける。投擲された装甲板の直撃を受け、隊員たちが吹っ飛んでいく。 カズマはそのまま力任せに装甲車を破壊し、同じ要領で次々に対象を移していき破壊を続ける。 流石にトレーラーの方は質量もあり一筋縄では行かないが、それでも今の怒れるカズマの拳の前に堅牢さを保てるはずも無く、拳が擦過した箇所から次々に爆発を起こしていく。 車両のこと如くを破壊され、群がる隊員たちも蟻を蹴散らす如く蹂躙し、無双ぶりを見せるカズマを前に、抵抗する隊員たちの感情が段々と恐怖に負けていくのは時間の問題だった。 中には武器を放り捨て悲鳴を上げながら逃げようとする隊員まで出始めるが、カズマはそれすらも許さない。 握りつぶした装甲板などを飛礫に変えて、逃げようとする隊員たちの背を目掛けて容赦なく叩きつける。 「……今更逃げようなんて、なに虫の良いことしようとしてんだッ!」 俺から全てを奪い、壊し、相棒まで殺しやがった連中にそんな権利などあるものか。 君島は死んだ……ああ、テメエらに殺されたんだ! だって言うのにテメエらはまだ我が物顔で人様の庭先をうろついて好き勝手を続け、挙句の果てに襲われだしたら逃げるだと……? 「……ふざけてんじゃねえぞ、テメエらぁぁぁああああああああああああああああ!!」 こちらが失ったものに相応する……否、それ以上の対価を支払わせずにどうして収まりが付く? 君島の弔いの為にも、コイツら全員叩き潰してやらないでどうして許せようか? ……ああ、許せない。許せる筈が無い! コイツらは敵だ! 俺が叩き潰す、叩き潰さずにはいられない、憎い敵。 だからこそ、一人残らず――― 「―――やめろッ!」 そう思いながら泣き叫び尻餅をついているホールド隊員へと拳を叩き込もうとした直後だった。 雷光がまるで割って入るようにすかさず二人の間に飛び込み、振り下ろしたカズマの拳を受け止める。 「……テメエッ……このガキッ……!?」 ストラーダで振り下ろすシェルブリットを必死に受け止めているエリオを、カズマは忌々しげに吐き捨てるように叫びながら睨みつける。 圧倒的な怒気と殺気を至近距離から浴びせられながらも、しかしエリオは屈さない。 「早く……ッ……逃げて……ッ!」 ジリジリと押され始める中で、自分が背後に庇っている隊員に対してそう叱咤する。 意外な人物からの救出に隊員は呆然としていたが、エリオが再び強く叱咤するその言葉に促がされ、立ち上がりこの場を脱兎の如く離れていく。 なんとか隊員を逃がせたことにホッとしようとしたエリオだったが……カズマはそんな暇すら与えない。 当然だ、不快で邪魔な横槍を入れられた。それもあのムカつく女の関係者だ。 そもそもコイツもホーリー……そして立ち向かってくる敵である以上カズマがガキだからと躊躇う理由ももはや何処にもない。 瞬間、カズマは押し込んでいる拳を槍で拮抗するように防いでいるエリオを容赦なく蹴り上げた。 拳の方を押し返すことに集中していたエリオにとってそれは不意打ち。防ぐ暇も無くカズマの蹴りはエリオに直撃し、吹き飛ばした。 だがそれだけでカズマが断じて許すはずも無い。吹き飛ぶエリオを追走、その足を掴むとそのまま地面へと叩きつける。 背中を地面に叩きつけられ強打した影響で咳き込もうとするエリオだが、カズマはそんな余裕すらも与えない。 そのままエリオの腹部にシェルブリットを容赦なく振り下ろした。 地に伏せ衝撃で九の字に体が折れ曲がるエリオの口から血塊が飛び散る。がカズマは無論、気にした素振りもない。 そのままエリオの髪を掴み上げると、近くの装甲車の残骸へと容赦なく投げつけた。 「エリオ君ッ!?」 そのエリオの惨状を丁度駆けつけ目撃してしまったキャロが叫び声を上げるが、カズマはそのキャロへと今度はギロリと睨みつけるとズンズンと彼女へと向かって歩き出す。 流石に身の危険を察したキャロを護るように、既に成竜化しているフリードがカズマに向かってブラストレイを放つが、 「しゃらくせえんだよッ!」 雄叫びと共に右腕で薙ぎ払うようにそれを掻き消しながら駆け込んでくる。 瞬時に間合いを詰めたカズマは、フリードの首を掴むとそのまま地面へと叩きつけながら首の骨を圧し折るように力を込める。 その様子に咄嗟にフリードの命の危機を察したキャロがアルケミックチェーンを発動、カズマを拘束する。 魔力で編まれた鎖で拘束されたカズマはそれを振り解こうともがくが、ソレに全力を込めているキャロがそれを許しはしない。 だが――― 「……こんなもんでなぁ………」 ポツリとカズマが零した言葉にキャロがその視線をカズマへと向ける。 眼が合う、瞬間ゾッとするほどの恐怖が全身を駆け抜けていくのをキャロは感じていた。 それこそ視線ですら殺す気だと言わんばかりの迫力でキャロを睨みつけながら、カズマは叫ぶ。 「こんなもんで………今の俺を、どうにか出来ると思うなぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!」 瞬間、絶叫と同時カズマの背中の羽根の一片が砕け散る。 本来ならば拳を突きこむ噴出剤として溜め込んでいるエネルギーを、指向性も持たせずに爆発させる。 緑色の粒子を噴出させながら、カズマを中心に凄まじい爆風が発生。 フリード諸共にキャロはその場に踏ん張れるはずも無く吹き飛ばされる。 そのままキャロもまた吹き飛ばされる勢いのままに進行方向上のトレーラーの残骸へと叩きつけられようとした瞬間だった。 「―――キャロッ!?」 ボロボロに叩きのめされたはずのエリオが暴風の中、ソニックムーブを発動し突っ切りながら彼女を庇うように抱きとめる。 幼き召喚師を抱き留めながら勇敢な騎士は彼女諸共にトレーラーの残骸へと直撃、瞬間、衝撃がどのように影響したのかトレーラーが爆炎を上げ始める。 「エリオ!? キャロ!?」 二人の名を叫びながら駆け寄ろうとするティアナの首を横合いから握り潰さんばかりに掴みかかってくる影―――怒りに狂うカズマである。 「おい、何処行こうとしてんだよ、テメエは!? 誰の許可貰って好き勝手動き回ってんだよ!? ああ!?」 それこそチンピラそのものの形相と態度でそんなことを言ってくるカズマに、ティアナは知るかと怒りで叫び返したいところだったが首を握り締められていてそんな余裕すらも無い。 それこそこのままでは窒息……否、あと少しでも力を余計に込められればマッチ棒のように自分の首など呆気なく圧し折られるだろう。 苦しさや痛み以上に、ティアナが感じたのは恐怖だった。……そう、怖かった。ただ只管に自分の首を絞めているこの眼前の餓えた怒れる獣のような男がティアナは怖かった。 (……兄さん……なのはさん……スバル……) 胸中で思わず大切な人である彼らに助けを求めた程だった。 脳にまで酸素が行き届かず、それこそこのままでは窒息死すると死を覚悟しかけたその時。 獣の咆哮が辺りに響いた。 それは眼前の男とは別種……生物として根本的に異なる獣の叫び。 「またテメエかよッ!?」 ティアナの首を圧し折らんとするカズマを横合いから阻止するように突っ込んでぶつかってきたのは……フリードだった。 キャロの使役竜であるフリードは成竜状態の体躯を活かし、質量で押し飛ばしながらカズマをティアナから引き剥がす。 フリードに吹き飛ばされて諸共にカズマは装甲車の残骸へと叩きつけられる。前後挟まれての衝撃に流石のカズマも効いたのだろう、思わず息を吐き痛みで顔を顰めていた。 だが主の仲間を助ける為に行った使役竜の勇敢なる行動も、カズマに更なる怒りの火を点けるだけであった。 「撃滅のぉぉぉおおおお………」 密着し押し潰してこようとするフリードへとカズマは拳を振りかぶりながら叫ぶ。 その光景を燃え盛るトレーラーからエリオを担ぎながら何とか脱出したキャロは目撃し思わず自らの使役竜の名を叫ぼうとするよりも早く――― 「ッ!? フリ――――」 「セカンドブリットォォォオオオオオオオオオ!!」 破壊の拳が容赦なく振り下ろされる。 獣の絶叫が周囲へと響いた。 「……何てことッ……逃げて! 逃げるのよ、皆! 早く!」 再びの破壊の惨劇の舞台となった駐屯地でシェリス・アジャーニは一般のスタッフやホールド隊員たちへと必死にそう呼びかけ回る。 あのNP3228……カズマの無茶苦茶振りにはもはや対抗できるだけの戦力が自分たちには残っていない。劉鳳や瓜核が居ればまだ違ったのかもしれないが二人は気づいたらいつの間にかその姿を消していた。 「……何処行ったのよ……劉鳳ぉ……」 本来ならば頼りになるはずの、あんな野蛮な獣は問題なく倒してくれるはずの彼が今居ない。 自分だけが置いていかれたというのもそうだが、己の身にも直前にまで迫っている恐怖や不安にシェリスは泣き出したい気分にすらなってきた。 だが運命はそんな暇すら彼女へと許さない。 直ぐ近くに停まっていた装甲車が突如爆発、いきなりの事態に近距離であったことも災いしシェリスは対応することも出来ずに吹き飛ぶ。 地面へと叩き落される衝撃や痛みに顔を顰めながら、爆発の起きた方向を見ると…… 「ホォォオオオオオリィィィィイイイイイイイ!」 まるで地の底から沸いて出てきたような怨嗟の声を響かせながら爆炎の向こうからこちらへと近付いてきたのは最悪の相手だった。 NP3228……カズマ。この場で二度もこんな惨劇を引き起こした張本人。怒れる獣。 睨み付けてこちらを見下ろしているカズマの右腕がこちらへと伸ばされる。力づくに肩を掴まれ持ち上げられ、万力で締め付けられるかのような力に骨が悲鳴を上げていた。 肩の骨が確実にイッた痛みに顔を歪めながら、それでもシェリスに残るホーリー隊員としての矜持が破壊の暴君へと気丈に睨み返しながら叫ぶ。 「NP…3228……ッ……アンタのせいで―――ッ!」 コイツがいたから、こんな奴がいるから、罪も無い多くの人が傷ついた。 劉鳳までもが心を痛め、変わってしまった。 エマージーだって、コイツがいなければあんなことにはならなかった。 あんなことにさえならなければ……スバルたちだって傷つかずに済んだのだ。 全部……全部ッ、コイツのせいだッ! 湧き上がる怒りのままにそうシェリスはカズマを睨みつける。 だが――― 「……ああ、NP何とかで充分だッ!……だからッ……お前らはッ……俺の―――敵だ!」 そんなシェリスの怒りすらも尚も激しくどす黒く凌駕するほどにカズマの憤怒と憎悪の感情は大きかった。 相棒を奪われ、大切な少女を泣かされ、背負うべきものの全てを奪われた。 何もかもを失い、誇りや矜持の拠り所となるべきものがもはやないからこそ、カズマはもっとシンプルに己の拳を振るうに足る理由と拠り所を求めた。 即ち仇討ち、即ち破壊、即ち敵………。 もういい、もうそれだけで充分だ。 それら全てを潰し、破壊し、絶対に許しはしない。 だからこそ求める、この拳を振るう標的を。 劉鳳を、高町なのはを、ホーリーを、敵を――― ―――獣はただそれだけを今は餓えたように求め続けていた。 カズマが去り、再び物言わぬ君島と自分だけが残され、かなみはこれからどうすれば良いのかを迷っていた。 ……カズくんはもういない。少なくとも、先の言葉が自分の前でいつも在り続けてくれた優しい彼の訣別だったことはかなみにも分かった。 けれど、かなみにとってはやはりカズくんはカズくんである。 いつも真面目に働いてくれず、皆に迷惑ばかりをかける甲斐性無しのロクデナシ、後本人曰くにそこにクズも追加して良いと言う彼。 そんなカズマがかなみは好きで、だからこそそんなカズマにかなみは戻って欲しかった。帰ってきて欲しかった。 だからかなみはカズマを信じて待ち続けていた。動かずに、此処でずっと、彼がまたいつものようにふらりと戻ってきてくれるのを待ち続けていた。 だって此処が自分たちが暮らしてきた、自分たちの家なんだから。 此処が存在し、自分が此処で待ち続けている限り、カズくんだってきっと――― だが、そんな彼女の最後に縋った儚い願いもまた無情に叩き壊されることになる。 カズマを待ち続けるかなみ、ふとその診療所の前に前触れも無く突如出現する巨大な西瓜。 一体何事かとこの不可思議な現象にかなみの理解が追いつくよりも早くその西瓜の中から現れた二人の男。 「この辺りの筈なんだが……」 瓜核のアルター“瓜核”、その能力の一つである瞬間移動で短距離転移を果たし此処まで辿り着いた劉鳳と瓜核である。 イーリャンから指定された座標軸、だが現れてみればそこに標的のカズマは居らず、居るのは突如現れた自分たちに戸惑っている年端も行かない少女が一人である。 「お嬢ちゃん、こんな所に一人で居ちゃあ危ねえぞ。危険なアルター使いがうろついてるからな」 見た限りでもインナーの少女。この辺りでまだ保護されていないインナーが居たというのも驚いたが、故にこそ戦いに巻き込むわけにもいかない。 そう思ったからこそ二人は彼女へと近付いてそう声をかけた。 しかし……… 「アルター……使い……?」 瓜核に言われた言葉にかなみは戸惑ったように聞き返す。 「ああ、右腕の形を変える奴だ」 「ソイツがまたとんでもねえ野郎でなぁ……」 二人が返してきた特徴的な説明にかなみはハッとなった。 それこそかなみの知り合いにアルター使いは一人だけ。そして彼のアルターを使うその姿は先程ありありと見せられていた。 故にこそ、ホーリーたちの言葉でかなみが結び付けれた対象は唯一人。 「それって、カズ――――ッ!?」 思わず彼の名を叫びそうになり相手がホーリーであることを思い出したかなみは、慌てて口を噤むも半ば言いかけていた言葉では既に遅い。 瞬時に二人も少女の言いかけた言葉の意味を悟る。そしてこの少女があの男と何がしかの関係者であろうことも。 「カズマを知っているのか!? そうなのか!?」 少女を逃がさぬよう、詰め寄って肩をシッカリと掴みながら劉鳳はまるで恫喝するようにかなみへと容赦なく問い質す。 強硬な劉鳳の詰問にかなみがそれこそ驚き怯えを見せるも劉鳳にとってそんなことは知ったことではなかった。 漸く掴んだ打倒すべき宿敵の手がかり……それを逃す好機などあろうはずがない。 「ち、違います! そ……そんなんじゃ、ありません」 それでもカズマを危険には曝せない。健気ながらも必死にそう思っていたかなみは詰め寄る劉鳳に対して何とか首を振りながらそう告げた。 だが既にカズマのことで頭の中が一色に染まっている劉鳳にそんな言い訳が通じるはずも無い。 「……そうか。やはり此処か」 そう言って劉鳳が視線を向けたのはかなみとカズマが暮らしてきた廃墟と化した診療所。 此処があのネイティブアルターの棲家……そう判断した劉鳳はだからこそ今もこの中に彼が居ると思い込んでもいた。 「カズマァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」 宿敵の名を雄叫びのように叫び上げながら、劉鳳は己がアルター“絶影”を顕現させる。 劉鳳の怒りの思念に促がされ、宙を舞った絶影はそのまま診療所をその両肩の触鞭を振るい瞬時に瓦礫の山へと変えてしまった。 音を立てて崩れていく。 思い出が、幸せな日々が、自分たちの家が、カズくんの帰ってくる場所が……。 かなみにとって儚く残った最後の希望であったはずの拠り所は、突如振って沸いて現れた理不尽によって蹂躙され、破壊された。 カズマと自分が暮らしてきた家が、自分たち二人と……そして死んだ君島とだって残っていたはずの思い出の日々が詰まった場所が、完膚なきまでに破壊された。 かなみは何も出来ないまま、また唐突に理不尽に全てを奪われた。 カズくんだって、まだ戻れたかもしれない最後の希望だったのに…… 「う~ん、どうやら此処には居ねえみたいだな」 瓜核の外れかという他人事のような声がやけに遠く空々しく響く。 あまりにも理不尽なホーリーの暴挙に、さしもの心優しき少女もまた爆発した感情をぶつけずにはいられなかった。 「酷いッ! 何をするんですかッ!?」 どうして……どうして彼らはそうやって自分たちからまた奪うのだろうか。 牧場の人たちから牧場を奪い、カズマから君島を奪い。 今度は自分たちの帰るべき場所まで奪おうというのか……。 酷い、あまりにも理不尽だった。こんなことをされるほどの重い罪を自分たちはいつ犯したというのだろうか。 己が無力であることを悔やみ、この理不尽で救いの無い現状をかなみは悲しみ、恨まずにはいられなかった。 ……だがそんな少女の感情の爆発すら、完全なる秩序の構築を目指す劉鳳が掲げる絶対正義の前では無力。 ましてや滾る宿敵への思いを、少女の無力な糾弾一つで揺らがすことなど端から不可能。 「……カズマは何処だ? 何処に居る!?」 正真正銘の恫喝、かなみを逃がさぬよう絶影で背後を取り、その触鞭までをも鋭く突きつけながら容赦なく劉鳳はかなみへと問い質す。 年端も行かぬ少女……関係ない。犯罪者の関係者であり、協力し、庇い立てするようなら、それは悪……断罪すべき毒虫の一種。 この少女がそうだというのなら、劉鳳は更々それを躊躇う気すらも無かった。 だが劉鳳のあまりにも強硬な姿勢には、やはり瓜核が見過ごせなかったのは事実。 エリオたちと同様にあまりにも問題がありすぎる劉鳳の姿勢に躊躇いを憶え、やめさせようと声をかけようとした時だった。 「……かなみちゃん? それに、劉鳳君………何、やってるの?」 唐突に聞こえてきたその聞きなれた声に三者がそちらの方向へと振り向く。 そこには三人ともが偶然にも知っている人物―――高町なのはが其処に立っていた。 高町なのはがこれからの行動として選んだこと……それはまず、ホーリーとカズマの対立を止めさせることだった。 ホーリーのやり方、その背後にある本土の意向には問題がある。なのは自身もそれを許せず正すと決めた。 だがやはりジグマールはそれに賛同を示すことは無く、彼とは訣別と言う形で道を別つことになってしまった。 言うなればコレは……ホーリーそのものを敵に回したのと同じと言い換えても良いのかもしれない。 無論、ホーリーの中にもあのストレイト・クーガーのような自分の行動に協力をしてくれる者だってまだ居るかもしれない。 ホーリーと、そしてジグマールとだっていつかは共に手を取り合える事をなのはは未だ諦めてはいなかった。 だがだからこそ、このままホーリーとそしてカズマが対立し、潰し合い続けることは避けねばならないとも思っていた。こんなことを続けても、互いに傷つき合い、不信感が積もり合うばかりだったからだ。 しかし、口で言うほど簡単にはこれを上手く止める事ができないであろう事はなのはとて承知の上。お話を全然聞いてもらえなかったという前科だってある。 それでも無茶を承知でやらなければならない。これ以上、エマージー・マクスフェルのような犠牲者を生み出さないためにも、部下たちが重い責任で傷ついたりしないためにも。 高町なのはにはそれをやり遂げると決意したものとしての責務があった。 故に、まずはカズマがこれ以上のホーリーとの対立を深めない為にも、話し合って説得する為になのはは彼の元へと向かった。 幸いにも、以前かなみと偶然接触した時に彼らの住んでいる場所は聞き出していたので知っていた。……今までホーリーにも報告せず隠し通してきたことには罪悪感がなかったわけではない。 けれど言えなかった。由詑かなみが幸せを夢見ている暖かな居場所を、カズマが大切な少女に隠し通してでも護り続けようとしていたものを。 それを壊すことなんて……そう考えてしまえばなのはに出来るはずもなかった。 だから今までずっと黙っていた。己に彼と向き合えるだけの決意が固まり、資格を有したなら、改めて自分から会いに行こうと決めて。 ずっとずっとその機会を待ち続け、それを今だと考え、覚悟を抱いてなのははカズマへと会いに向かい――― ―――そうして瓦礫と化した廃墟の前で無垢な少女にアルターを突きつけている劉鳳を目撃した。 「……劉鳳君、ソレ……何してるの?」 「……高町、貴様こそこんな所で何をしている?」 お互いに睨み合うように言葉を発し合う両者。凄まじいまでの緊張感が帯電するかのように発生していることをこの場にいる誰もが感じ取っていた。 なのはから見て劉鳳のしていること……それは信じられない蛮行だった。無力な少女を相手に歴戦のアルターを突きつけ脅しつけるかのような行動、無論見過ごせるはずが無い。 そして劉鳳からしても高町なのはの登場というのは奇異そのものであった。どうして彼女が此処に居る? 此処はカズマの棲家、つまり自分たちの敵が居る場所。そんな所に単身で理由も分からず唐突に現れるなど、不自然以外の何ものでもない。 かねてより機動六課には不信感も溜まっていた劉鳳である……行動の真意も分からぬなのはの登場、先のエマージーの一件や、スバル逃亡の件まで含めれば……安直過ぎるがそれでもある種の疑いを抱いたとしても仕方なきこと。 即ち、やはり機動六課という部隊はカズマと通じているのではないのか? 本土から来た詳しい情報すら公開されていない部隊でもある。何がしかを隠し立てて行動しているのも知っている。不自然そのもの過ぎるこの部隊をそもそも信頼しろということからして無理もある。 ましてやカズマの事で怒り一色となり冷静な判断力に欠けている今の劉鳳にとってならばそれも尚更。 「……これが、こんなやり方が……君たちの言う正義なの?」 「……何も知らないものが、俺たちの正義を批判するのか。……そもそも、ならば貴様たちに正義はあるのか?」 「……少なくとも、大義を盾に弱者を虐げるような正義なら私たちは持ってないよ」 なのはの痛烈な皮肉は劉鳳にとっては戯言であれ聞き逃せぬ罵詈雑言だった。 杓子定規で崇高なはずの自分たちの正義をそんな低俗なもののように表現されるという事実が劉鳳には許せない。 ……やはりコイツは俺の正義の敵か、そう劉鳳が決めかけた時だった。 「かなみちゃんを離して。彼女に危害を加えるようなら……これ以上は見過ごせないよ」 それはなのは側からの宣戦布告のように劉鳳には聞こえた。 先の発言といい、この少女の名を知り、知り合いのようであることから見ても、やはりこの女はカズマとも何某かの繋がりがある。 ……よくも、今までよくものうのうと味方面をして好き勝手やってくれたものだ。やはりエマージーはこいつらにやられた犠牲者だ。 もはや高町なのはは劉鳳にとってカズマ同様に完全に断罪すべき悪……毒虫どもの仲間と認識されていた。 「……ほざくな、犯罪者! 貴様も此処で断罪して―――」 劉鳳がそう叫び上げながら問答無用で絶影を嗾け様としたその瞬間だった。 懐の通信機が急に鳴り響く。機先を制された事態にピタリと両者の動きが止まる。 「……え、何?……ティアナ、何があったの?……聞こえないよ、どうしたの……無事なの?」 急になのはの方もぶつぶつと何かを喋りだし始める。 問答無用でこの隙を突いて絶影で叩き伏せてやろうかと思いはしたものの、こちらも鳴り響いている通信機の不吉な予感に促がされ、そちらの対応を優先することにした。 「……りゅ……劉……鳳……」 通信機に表示されている発信先はシェリス・アジャーニのもの。その表示通り、通信機からは彼女の声が聞こえてきているが様子がどうもおかしい。 「シェリスか!? 何があった!?」 「……ごめん……あたし……………」 「シェリス!? 何があったんだ!?」 只事ではない不吉な事態を通信機越しに予見し、彼女の身に何かがあったのだと瞬時に悟った劉鳳は必死に彼女へと呼びかける。 だがその劉鳳の言葉に応えたのは――― 「へ、何処に居やがる劉鳳ッ! クソッタレのホーリー野郎はよぉ!?」 ―――獰猛に餓えた、怨嗟響かす獣の声であった。 『まさかッ!?』 『ッ!? カズマッ!?』 シェリスから奪い取った通信機越しから聞こえてくるあのムカつくホーリー野郎どもの慌てふためいた声。 その相手の慌て、悔しがり、歯噛みしているであろう姿に多少の溜飲も下がる暗い心地良さを芽生えさせながら、カズマは本題である劉鳳の居場所を直接聞き出そうと口を開きかけたその時だった。 『―――カズくん!?』 ……………何? どうして………どうして、今その声がホーリー野郎どもの近くで聞こえる? 聞き間違い?……否、それは断じてありえない。他の誰ならいざ知らず、自分が彼女の声を、その呼び方を聞き間違えるはずが断じてない。 「なっ!? かなみか!?」 先程まであった勝利の優越感などその全てが一瞬で吹き飛んだ。 もう二度と傷つけない為、悲しませない為、泣かせない為に置いてきたはずの少女。 カズマがカズくんでいる為に誰よりも大切だったはずの彼女。 天涯孤独で身寄りの無い、カズマにとってたった一人の家族とも言って良い彼女が。 ……何故、ホーリー野郎どもの近くになどいるのだ? またか、またなのか……カズマの中に決して消えない怒りの炎が、一時とはいえ沈静化しかけていたはずのソレが再び、過去最大級の勢いで燃え上がる。 コイツらは……今度はかなみまで奪おうっていうのかッ!? 君島だけでは飽き足らず、かなみまでも……ッ!? ふざけるなッ! そんな怒りが憎悪が、抑えきれずに身の内からすら弾け出してこんばかりの勢いとなって爆発する。 「テメエ……ッ…かなみに何しやがったッ!? 劉鳳ォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」 通信機を握り潰さんばかりの勢いで掴みながら、通信機越しの宿敵へとカズマは怨嗟の叫びを叩きつけた。 そうか……そういうことなのか。 卑劣で低俗で野蛮で救いようの無い毒虫に、自分は一杯食わされたということか。 自分たちが本隊を離れている間に、アイツはそれを狙って卑劣にもシェリスたちを襲ったということか。 あの場にはまだアイツに傷つけられた負傷者だって多く残っていたというのに。 そんな者たちにまで再び主義も主張も必然性すらも無い、ただ反社会的で刹那的な快楽に酔っただけの暴力を振るおうなどとは……ッ! 改めて確信した。アイツは……やはりカズマは社会に必要の無いゴミクズも同然の男。 断罪せねばならない―――悪! 「そういうことか……ッ……カズマァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」 通信機を叩きつけんばかりの勢いで掴みながら、通信機越しの宿敵へと劉鳳は憤怒の叫びを叩きつけた。 そしてその瞬間だった。 「―――かなみちゃんッ!?」 割り込むように少女の名を叫びながら駆け込んでくる白い影。 咄嗟に反応した劉鳳が絶影に命じて触鞭を迎撃に振るわせるも、それを白い影は黄金の杖で弾き受け流しながら掻い潜りそのままの勢いでかなみを担ぎ上空へと飛翔する。 上空へと逃げられたことに、劉鳳は咄嗟に絶影の真の姿を解き放ち追いかけさせようかと考えたが、 「おい! それよりシェリスたちの所へ戻ろうぜ!?」 そんなものに構っている暇は無いと言ってくる瓜核に、劉鳳は眼前の悪を取り逃がすことに歯噛みする。 瓜核にとってもかなみがなのはに連れ去られていく事を放置するのは吝かでは無い。だが今はカズマがシェリスたちに何をしたのか、仲間の安否を確かめることの方が優先度として高い。 それに瓜核は劉鳳ほどにまだなのはを完全には敵だとは認識しきっていない。流石にあんな少女に何がしかの危害を加えるような人物だとも思っていなかった。 だからこそ瓜核の言い分も尤も。劉鳳にとってもシェリスたちの安否を確かめることは最優先事項であり、宿敵もまたその場に居るはずである以上は放置も出来ない。 断罪すべき悪の優先順位……脳裏に天秤に掛けた結果、劉鳳はソレをカズマの方が高い事を判断した。 だが、この場ではそう見逃すことになったとはいえ、いずれ――― 「いずれ貴様も断罪するッ! 憶えておけ……高町ィィィイイイイイイイイイイイイイ!」 少女を連れ去り上空を飛び去っていく白い影―――高町なのはへと劉鳳はそう叫び上げた。 なのはは劉鳳との一触即発の対峙の最中、部下であるティアナたちがカズマに襲撃を受けた事をティアナ自身の念話による報告で知った。 知った直後にその身に走った衝撃は、それこそ凄まじいまでのものだった。何せ損害の内容が、キャロは幸いにも軽傷だっとはいえ、エリオとキャロの使役竜たるフリードはかなり大きな負傷を負ったのだという。念話による報告を気丈にも続けてくれたティアナの様子だって気がかりだった。 幸いにも、今は応急処置にキャロが治癒魔法をエリオとフリードに施した為、命に別状は無いそうだがそれでも酷い負傷を負っているのは事実だということ。 上官として、師として、教え子であり大切な部下である彼女たちの元へとすぐさま飛んで帰りたい思いに支配されるも、それでもなのはは鋼の自制心でそれを押さえ込む。 まだ目の前のかなみが劉鳳に捕らわれたままだ。彼女を彼の手から解放させねばならないという見過ごせない責任感が一つ。 もう一つは、尋常な様子ではなかったと言うカズマの豹変。そして知らされた彼が行ったこと。 どうしてカズマがそのような暴走紛いな事をしているのか。カズマを信じていたなのはは理由も無くそんな事を彼がしているとは思えない。 きっと何かがあったのだ……彼にとって暴走せずにはいられないような辛い何かが。 もしかしたならかなみはそれを知っており、何とかカズマを止める方法だって知っているかもしれない。 そう思ったなのははだからこそ無茶な行動を承知で、絶影を掻い潜りかなみを救出した。 今は少し此処から離れ、今までの自分の知らない彼女たちの経緯を聞きだす為に。 そして絶対に、暴走しているカズマを止める為に……… 瓜核のアルター能力によって再びスタート地点へと戻ってきた二人が目にした光景は、まさに惨劇の一言で片付けるのも酷すぎるものであった。 大穴を穿たれた大地、破壊され炎上している車両の数々、そして瀕死の呻き声を上げて倒れているホールド隊員たち。 ……そして、その惨状の中でも最も酷く二人の目に留まったのは――― 「―――シェリス!?」 「エリオ!? キャロ!?」 劉鳳の傍らを駆け抜け地面に倒れこんでいる仲間たちへと駆け寄っていく瓜核。 シェリスもエリオも酷い状態だ。どちらもボロボロの姿で気を失っている。幸いにもキャロには大きな外傷らしいものも見つかってはいないが、その手に抱いている瀕死の子竜を見下ろしながら心此処にあらずとでも言った状況だった。 「……劉鳳、さん……瓜核さん……も……」 ふと呆然としていた劉鳳の耳に届いてきた声に彼は勢い良く振り向く。 其処にはボロボロの体を引き摺りながらこちらへと近寄ってくるティアナ・ランスターがいた。 彼女もシェリスたち程でないにしても酷い状態だ。動くこともキツイだろう体を引き摺りながら必死にこちらへと近寄ってくる。 先程断罪すべき対象と定めた高町なのはの部下ではあったが、流石に劉鳳もその彼女の姿を見てまで彼女をカズマの仲間と断ずるほどに狭量ではない。 むしろ彼女がシェリスや仲間達を護る為に命を懸けて戦った勇敢な戦士であったことは一目で理解できた。 「ランスター!?……大丈夫か?」 こちらに歩いてくる途中で限界が来たのか、つんのめって倒れかけるティアナを劉鳳は慌てて駆け寄って支えた。 なのはは兎も角として、此処で仲間を護る為にあのカズマと戦ったのであろうティアナたちは劉鳳にとっても今や掛け替えの無い仲間だと評価が戻ってもいた。 だからこそ、尚更やはりカズマへと怒りが沸々と蘇ってくる。 許せん、よくも俺の仲間達をこのような目に……ッ! そんな怒りを表面上は静かに燃え滾らせながら、劉鳳は支えられたことに安堵したのかそのまま気を失ったティアナを抱き上げると彼女をシェリスたちの近くにまで連れてきて、そこに優しく横たわらせてやった。 ティアナを横たわらせた時、隣で気絶しているシェリスの痛々しい姿が目に留まり、尚更にやるせない怒りが沸き立ってくる。 許さない、絶対に許さない。カズマは自分の大切な者たちをまた再び傷つけた。 主義も主張も必然性も何も無い、刹那的な快楽に酔いしれただけの卑劣で低俗な暴力を持って彼女たちを蹂躙したのだ。 やはり……あの男はこの手で始末をつけねばならない、処断しなければならない毒虫……悪、だ。 もはやこれ以上は捨て置けん。今日此処で、今から奴の命ごとその因縁を断ち切る事を劉鳳は決め、立ち上がった。 「お、おい!? 劉鳳ッ!?」 去り往く己の背中へと呼び止めるように瓜核が声をかけてきたが、生憎と今の劉鳳はそれを聞くわけにはいかない。 そしてこれは己の因縁の清算である以上、彼の手助けや介入も許さない。 だからこそ、劉鳳が瓜核へと頼み込むことがあるとすればそれはたった一つ。 「……シェリスたちを、頼む」 ただ、その一言だけであった。 まさに飛んで戻るとでも言う勢いで、出戻りもよろしく少女と別れを告げた棲家へと戻ってきてカズマが目にした光景は信じられないものだった。 自分とかなみが暮らしてきた診療所……それが完膚なきまでに破壊され、瓦礫の山と化していたのだ。 周囲の何処にもかなみの姿が見当たらないこと、そしてその棲家の凄惨な末路から、カズマが想像した光景が何であったのかは誰でも容易く予想がつくだろう。 「―――かなみ!?」 それこそ顔を青くしながら血相変えてカズマは瓦礫の山へと駆け寄り、次々に積まれている瓦礫を力任せにどけ始める。 こんな所にいるはずがない……かなみがこんな瓦礫の下敷きになっているはずがない。 そう必死に胸中で言いきかせながらも、それでも瓦礫を必死に力づくで押しのけていくカズマの作業は止まらない。 ……おい、嘘だろ? そんなはずねえ、そんなはずあるわけねえ! かなみはただのガキだ……ただのガキなんだぞ。幾らホーリーの奴らがクソ外道の集まりだからって問答無用の生き埋めになんざするはずがねえ。 かなみは此処には居ない……此処には居ない。きっとホーリー野郎どもから逃げる為に此処を離れたんだ。……そうだ、そうに違いない。 きっと誰かに助けられて、今頃安全な場所へ――― 「……助けるって、誰がだよ」 己の胸中で沸きあがっていたあまりにも情けない言い訳を否定するようにカズマは呟いていた。 今更、かなみみたいなガキを何処の誰が助けるってんだ? 牧場のおばちゃんたちはホールドの連中に連れて行かれた。もうかなみを助けてくれない。 唯一信頼していた相棒だってもう死んでしまっている。……もう、二度と命懸けでかなみを助けてくれるような真似はいくらアイツにだって出来やしない。 ……だったら、かなみを助けてくれる奴なんてもう誰も――― 握っていた瓦礫の破片を力任せに握り潰す。言葉にならない雄叫びを上げながら眼前の瓦礫の山を拳を叩き込んで破壊する。 かなみはいない……何処にもいない。此処にあるのは、自分と彼女が暮らしていたという文字通りの夢の残骸。ただ、それだけだ。 彼女が死んだとは思わない、否、絶対にそんなものは認めない。 だが現実として此処には…………いない。 「……っくしょう」 ガリッと奥歯を噛み砕かん勢いで噛み締めながら、カズマの口から零れ出た声は情けないほどに震えていた。 彼女がいない、何処にもいない。 ホーリーの連中に連れて行かれたのだろうか、自分の関係者だとバレたのならその可能性は高い……否、その可能性しか思い浮かばない。 奪われた……かなみを奪われた。 その事実は、君島邦彦を連中に殺されたと理解した直後に匹敵する感情の爆発をカズマへと与えていた。 「……してやる」 自分でもゾッとするほどの重く響く声を呟き漏らしながら、カズマはゆっくりと歩き出した。 「……潰してやる」 周りの物質を分解しながら、先の大暴れで消費したシェルブリットを再装填しながらカズマは怒れる感情も顕に突き進み続ける。 「ぶっ潰してやる……ホォォオオオオオオオオオリィィィイイイイイイイイイイイイ!!」 大切な、己にとって何よりも大切な、最後に残った唯一の宝物を取り戻す為に。 ―――そうして、互いに絶対に退けない怒りを抱いた男が二人、遂に邂逅する。 「テメエ……かなみに何をした!?」 カズマは吼える。返答の如何に関わらず全殺し、最悪の答なら殺した後にもう一度殺す心算で問い質す。 「貴様こそシェリスたちに何をした!?」 対する劉鳳、彼もまた相手へと勝るとも劣らぬ怒りの剣幕で問い返す。既に処断は決定済みだが罪状次第では与える痛みを更に加える必要があった。 「このアルター犯罪者が!」 故に劉鳳の怒りは止まらない。彼が忌むべき悪の中でも眼前の男はそのカテゴリ内ですら極め付きの別格、おぞましいなどというレベルですらない。 「勝手に人を枠に嵌めやがって!」 こちらの大切な問いを無視しての挑発。何から何まで上から目線で何様を気取って俺から全てを奪おうとしてやがんのかとカズマは改めて怒りを更なる高みにまで燃え上がらせる。 「貴様の存在が社会を乱す!」 不必要な人間の、私欲にまみれた自分勝手な低俗な行い。貴様の蛮行の陰でどれ程の人間が涙を流してきたのかと劉鳳は更に問い詰める。 「何様の心算だ!」 馬鹿で結構、クズで上等、好きなだけ嘲って好きなだけ嗤えばいい。……だがな、それでもそんな生き方を死ぬまで貫いた馬鹿だって俺の隣には居たんだと思い返し、カズマはその遺志を引き継いだ事を思い出す。 「大勢の犠牲者が出る!」 たった一人の悪が、社会の秩序を乱し、混乱させ、その結果として人々が傷つき、悲しみ、そして大切なものを奪われる。かつて経験した者の一人として、だからこそアレと同類であるこの男が尚更劉鳳には許せない。 「君島が逝った!」 たった一人のダチ、掛け替えのなかった相棒、誰よりも勇敢に『生きた証』を立てて死んでいった本物の男。コイツらは、アイツを殺しやがった。絶対にそれだけはカズマにとって許せない事実。 「故に―――」 「だから―――」 拳を握り、ただ眼前の相手のみを見据えながら、両者にとってこれからやることはたった一つのシンプルな共通事項。即ち、それは――― 「―――貴様を裁く!」 「―――仇を取る!」 ただ只管に、目の前の気に入らない相手を全否定し、消し去ること。ただそれだけだ。 そして、その為に行う手段こそが――― 「貴様が―――」 「テメエが―――」 ―――闘争。万の言葉を費やすよりも遙かに単純にして手っ取り早い、最も原始的で最も救いの無い、最も愚かな手段。 だが――― 「「テメエ(貴様)が俺の敵だぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!」」 ―――二人の男たちにとって、これ以上に勝る手段など最初から存在などしていない。 まるでそれは宿命、運命とも呼べるものだったのだろう。 違う生き方を選んでいれば、あの時に出会いさえしなければ、きっとここまで救いようのない事態にもならなかった。 だが二人は互いに出会い、互いに争い、互いに認め、そして互いを憎んだ。 一度点いてしまった火は、縛られてしまった運命という名の鎖は、二人の男をこれ以外の道へと歩ませることを許さない。 否、例え違う道を提示されたとしても、やはり両者はこの道を選んだだろう。 どれ程凄惨で、どれ程救いようの無い、どれ程愚かな道かも承知の上で。 ただ二人、馬鹿な二人の男たちはこの道以外を選ばない。 何故ならこの道が最も――― ―――この眼前の心底気に入らない馬鹿野郎に目に物見せてやることが出来るのだから。 そうして叫びと同時、カズマと劉鳳。二人の男は同時に相手へと向かって駆け出し、激突する。 破壊の宴はいよいよその激しさを増していく。 「……やはり止められんか」 カズマと劉鳳、二人の男たちの激突の様子をイーリャンの“絶対知覚”を通して見物しながらジグマールが抱いたのはそんな諦めの感情だった。 万が一にも、ここで両者が潰し合うなどという事態になれば恐らく最も困るのはジグマールだ。何せ彼はこの二人の男にこのロストグラウンドの未来の命運すらも託し、期待しているのだから。 だがそう思う一方で、とっくに枯れ果てたはずのアルター使いとしての……否、男としての意地がこの宿命の戦いに横槍を入れる無粋さを躊躇わせていた。 目的の為ならば、あらゆる手段を容認する。何よりも大切なものを選び間違えてはならないはずの自分が、この男たちの戦いに疼きにも似たものを感じている。 「……救えないな、やはり私は」 男としての枯れ果てた意地よりも、一組織の長としての、この大地の守護者としての責務があるというのに、それを蔑ろにしかけるなど。 二度とはあってはならないこと、そう己を戒めながらも、ああも己がアルターを拮抗するライバルへと振るうことが出来るというのは羨ましいものだなと考えてしまったのは最後の未練か。 「……どちらにしろ、今の私には不要なものだ」 故に棄てる。男としてよりも、親として、組織の長として、選ぶべきものの方が自分には大事だ。それにもう自身も自分で思っているほどにも若くはない。 そんなことを考え苦笑を浮かべながらも、さてとジグマールは思考を切り替え、この二人の馬鹿をどうやって止めるかを考える。 カズマはおろかもはや劉鳳でさえ、今の自分が言葉で命じても聞き入れはしないだろう。それ程に取り返しの付かない領域にまで二人は踏み込みかけている。 だからといって現有戦力で無理矢理にでも彼らを止めることは可能か……恐らくこれも不可だ。 今の二人はその凄まじいまでの潜在能力を引き出してくる直前の状態。中継される映像を見ていても分かるが、その実力は最早尋常なレベルですらない。 明らかにSクラス……今のホーリーの隊員にこの二人を真っ向から力づくでも止められる程の実力者は……自分を含めても二人くらいか。 そしてジグマールは自身のその体の性質上、アルター能力を使用するわけにもいかない。それこそ最悪の場合を除いて、自ら出向いて彼らを鎮圧するというのも不可能と言って良い。 ならばもう一人……ハッキリ言ってこちらも下策だ。実力の程は保障できる。それは先のちょっとしたイレギュラーからも遺憾なく思い出さされた。だからこそ、扱い辛さは兎も角としても、あの男の実力なら二人を止めることもできるだろう。 ……最悪、あの男をここで使い潰す覚悟があれば、だが。 しかしジグマールにはやはりその気は無かった。アレに思い入れがあるとかそのような理由などでは断じてなく、ただ単純に使い辛さを差し引いて尚、あの男はジグマールにとって最強と言っても良い持ち駒だったからだ。ここで切り札を切るのは……早すぎる。 「……ならばやはり、ここは彼女に期待するしかないか」 扱い辛さ以前に最早味方ですらないのだが、それでもあの綺麗事が大好きなお人好しの小娘ならこの状況とて看過はすまい。 十中八九、あの二人を止める為にしゃしゃり出てくる。そうなれば、あの二人との激突もまた避けきれまい。 ジグマールとしてはその結果で彼女がどうなろうともどうでも良い。ただ重要なのはあの二人の激突は現時点では拙く止めねばならないということのみ。 結果として、彼女があの二人を止める為にどうなろうが、ジグマールはあの二人さえ止めてくれるならそれで良かった。それ以上は高望みと割り切り、望もうとも思わない。 それに今の彼女の実力をもってしても同時にあの二人を止められるかどうかは甚だ怪しい。最悪、返り討ちもありえる。 「……だがそれでも、今の私は君のその愚直な信念に期待せざるを得ない」 チラリと執務室に置かれた観葉植物を見る。見ればその葉が不安定に霞み歪み始めてもいた。 非常に拙い事態だ、『向こう側』と『こちら側』が繋がりかけている予兆を感じる。 かつて『向こう側』を垣間見た者の一人として、ジグマールにはそれが分かってしまっていた。 下手をしたらこのままでは六年前……否、それ以上の未曾有の大災害が発生しかねない。 だからこそ――― 「……今この時だけは君に期待する………高町君」 それがジグマールの数少なく珍しい、彼女を信じて漏らす本音だった。 市街を疾走……否、爆走している紫の厳つい車両。 ソレは彼―――ストレイト・クーガーが己のアルターである“ラディカルグッドスピード”を使用して再構成した彼専用の改造車である。 速度違反だとかそんな概念を逸脱して暴走する彼の車は文字通り急いでいた。 その運転している彼自身にもまたいつものキャラの濃い余裕さが今は何処にも存在していなかった。 滅多に見れないほど真剣に焦っているクーガーは、愛車を爆走させてただ只管に世界を縮める為に先を急いでいた。 そこに余裕や優雅さは欠片も無く、あるのは文字通りの決死を覚悟した焦りのみ。 クーガーは行かねばならなかった。かつて道を別つた弟分と、自分の想い人がぞっこんに惚れ込んでいる同僚……その二人の馬鹿どもを止める為に。 何故なら彼もまた感じたのだ。繋がろうとしている『向こう側』の残滓を。 止めなければならない、何としても止めなければ大惨事に……いや、あの馬鹿ども自身の身だって危ない。 どちらも死なせるわけにはいかない以上は自分が止める為に急ぐしかない。 本当にハードでトンデモナイ状況だ。それを改めて認識しながらも、彼は諦めてブレーキを踏もうとはしない。当然スピードだって緩めない。 当たり前だ、彼はストレイト・クーガー……最速で世界を縮める男なのだから。 「……そう、そんなことが」 かなみからこれまでの経緯を一通り聞き終えたなのはに呟けた言葉はそれだけだった。 親友であり相棒でもあった男の死。 かなみの話通りなら、今カズマを怒り狂わせている最大の原因こそがソレなのだろう。 なのははそのカズマの友であったという君島邦彦の事は直接的には知らない。だが少女の説明や話の流れから考えてみても、恐らくは以前自分とカズマの戦いに乱入し、彼を連れて脱出したあの車に乗っていた共犯者がその君島邦彦という人物なのだろう。 カズマとその君島邦彦が互いにどれ程の絆で結ばれていたのか……予想するには易いとは決して言えはしないが、かなみの話しぶりと先の一件の決死行の敢行から鑑みても、余程強い友情で結ばれていたのは間違いないだろう。 例えば自分やフェイト、それにはやてのような……… 想像してみる、もし自分がフェイトやはやてを失ったと仮定して耐え切ることが出来るだろうか? ……分からない。どれ程理性で押さえ込もうと、親友が誰かに殺されたとしたのなら自分は決して殺した犯人を許しはしないだろう。 だからこそ、今のカズマの暴走……正直、分からないわけではない。 不幸な出来事だった、悲しくても耐えるしかない……そんな綺麗事だけでは割り切れない本能としての感情の爆発を抑え切れなかったとしてもそれは決して間違ったことだとは言いきれない。 その形と理由はどうあれ、決して許されたものでないとしてもカズマが行っていることは弔い合戦の名を借りた喪った者への哀悼だ。 だがそうだとしても――― 『世界はいつだって……こんなはずじゃない事ばっかりだよ!』 『ずっと昔から、いつだって誰だってそうなんだ!』 『こんな筈じゃない現実から逃げるか、それとも立ち向かうかは個人の自由だ!』 『だけど……自分の勝手な悲しみに、無関係な人間まで巻き込んで良い権利は……何処の誰にもありはしない!』 自分たちにとって兄代わりの青年がいつも自論としていたその言葉を思い出す。 なのはやフェイトもまた、彼の言い分が正しいと思ったし、だからこそプレシア・テスタロッサの行いもまた否定した。 そしてなのはは魔導師として、目の前のそんな理不尽を撃ち抜く為に戦ってきた。 今更にその足は止まれない。そして理由はどうあれ、どれだけの同情の余地があろうとも今のカズマの暴走を肯定する事だって出来はしない。 これは一般的な社会規範と倫理に則った恐らくは傲慢とも言える正しさなのだろう。 今まさにそれを通そうというのなら、彼との激突もまた避けきれないことになる。 彼と再び戦えるのか? 自分は彼に勝つことが出来るのか? ……いいや、それ以上にもっと重要なことがある。 自分の言葉は果たして彼へと届くのか、そしてもう一度差し伸ばそうとするこの手を彼は取ってくれるのか……? 恐らくは、どれも絶望的なまでに低い可能性であるのは分かっている。 それでも――― 「……かなみちゃん。君はどうしたい?」 ふと尋ねてきたなのはのその言葉に、かなみは一瞬呆然としながらもそれでも次瞬には儚き願い事を希うように叫ぶ。 「……わたし……わたし……カズくんに会いたい! カズくんに戻ってきて欲しい!」 それがもう完全には元通りにはならない不可能な願いだとは承知の上。 それでもかなみは今のカズマを見ている事に耐え切れない。癒されること無く自らを傷つけながら進んでいく彼を救いたい。 もう一度……甲斐性無しのロクデナシでクズだろうとも優しかったカズくんに戻って欲しい。 それが由詑かなみが唯一つだけ願い続ける、たった一つの儚き思い。 それはとても小さな願いだった。 だがそれでも、高町なのはには捨て置くことは出来ない―――純粋な助けを求める無垢な叫びだ。 だったら、自分が取るべき道は決まっている。 「……分かった。任せて、かなみちゃん。私がカズマ君を―――助けるよ、助けてみせる」 それが自分、不可能を可能へと引っくり返す無敵のエースオブエース。 十年前から願い続け、戦い続けてきた、己が取るべき真のスタンスだ。 今この大地に舞い降りて、不屈の魔法使いとしての本当の意味での戦いの決意を初めてなのはは抱いた。 目次へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3108.html 前へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3184.html 次へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3186.html
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/227.html
〔―――ファイズ! 聞こえますか、ファイズ!?〕 「むにゃむにゃ……いくら暑いからってかき氷ばっか食うなよ……」 〔ちょっと! 起きてください騎士ファイズ!!〕 「んぅ……うるせえなぁ、なんだよ人が気持ちよく寝てるのに」 眠りについてから約2時間後、もうひとつの目覚まし変わりとしていた声が脳に直接響いてくる。 シャッハ・ヌエラ……と思い出すのに2秒を要したがなぜか声が焦っているように聞こえる 別に起きてやる気はないのだが仮眠を充分にとったと考えて起き上がろうとする ついでに目が冴えたことを怒ってやろうと巧は地面に生えている草を押し潰すように手をかけた (ん……地面に草? なんでだ、俺はさっきまで……) 巧が寝ていた場所は小石こそいくつかあったが草が生えるはずがないコンクリートの道だった だが今は背中と掌に伝わってくる草と散らばった砂利の独自の感触がある 即座に跳ね起きた巧は周囲の状況を調べるがそこは先ほどまでいた場所とは違う 数歩踏み出した後に見下ろした風景、その中で特に目立つレールのようなものがとても遠く小さく見える 巧は今自分がいる場所が崖……山岳だということに気が付くのにさほど時間はかからなかった 唖然としながら周囲を再び見回すと何かが空中を飛び回っている。 それは小型の機械人形とも呼べる物体だが巧はそれに見覚えがあった。 「あれは前にカリムのやつが見せた……ガジェットドローンってやつか!」 〔ファイズ! 応答してください、ファイズ!〕 シャッハ・ヌエラからの念話が伝わってくることに今ごろ気付いた巧は頼み事を返事として返す 〔聞こえてるよ! それよりカリムのやつに繋いでくれ!〕 〔えっ……無理です、今カリム様は会談中で〕 〔そんなどうでもいいことは後回しだ! いいから早くしろ!〕 自分が見ているものを伝えるためにカリムに通信を繋いでもらおうとために慣れない念話で伝える。 言葉遣いがなってないと叱られたが只事ではないことを理解してくれたのかすぐに繋いでくれた さすがに『どうでもいい』と口にしたことは不味かっただろうが今はとにかく報告が先だ 自分がいた世界なら自己判断で出ていただろうがここは異世界、慎重にならざるを得なかった 〔カリム聞こえるか、巧……じゃなくてファイズだ。 カリム? おいどうした?〕 巧は念話で問いかけるが応答はない。繰り返し呼びかけるがやはり返事は返ってこない いつもはすぐに応答する違和感を感じた巧だが何度か呼び続けてようやくカリムから返事が来た。 〔カリム……おいカリム? どうした、聞こえてんだろ?〕 〔あ……ごめんなさい、気付かなかったわ〕 〔いや別にいい、それより話が……〕 『教会騎士団の調査部で追ってたレリックらしきものがみつかった!』 『……対象は、山岳リニアレールで移動中!』 巧がカリムに報告しようとした瞬間横から別の女性の声が割り込んでくる 念話とは違う……オルフェノクとしての超越感覚が魔力でさらに強化されているらしい。 耳に入ってくるこの声は聞いたことのない声が聞こえる……アクセントが妙だった。 なまっている、と言い表したほうが良いのかもしれないがここで言う事じゃない。 それよりも巧はその女性が言った『レリック』という言葉に反応する 聖王教会が捜し求めているロストロギアだと前に聞かされたことがあったのだ。 なおもその女性の声が耳の中に入り続けてくる 『内部に侵入したガジェットのせいで車両の制御が奪われてる』 『リニアレール内のガジェット反応は少なく見ても30体…… 大型や飛行型、未確認タイプもでてるかもしれへん』 (リニアレールってモノレールか? コントロールが乗っ取られたってのか……?) 巧が空を見上げると確かにガジェットドローンの群れが空中を飛び回っている 飛行型と聞こえたが名前通りほぼ自由自在に動いている 6分以上も飛び続けられなかった巧はその飛行能力に少しだけ嫉妬した。 〔カリム、取り込み中で悪いんだが……俺はどうやらそのリニアレールの近くにいるらしい。〕 機械にまで嫉妬するようになった自分を笑いながら巧はカリムに向かって念を放つ 視界に入ったレールの上を複数の車両を繋いだ列車らしきものが走っている 巧の魔力反応を調べたところ確かにガジェットとレリックに近い場所にいることを知った 〔どうしてそんなところにあなたが……まさか、また勝手に転移したの?〕 〔ああ……けどよりによってなんでここなんだ、偶然か?〕 〔それはまだなんとも言えないけど、調べてみたほうがいいわね。〕 〔ああ……で、どうする? おまえが決めてくれ、俺はおまえに従うから。〕 隣で自分の部隊にてきぱきと指示を出す女性――部隊長である八神はやてを見ながらカリムは悩んでいた “即戦力の隊長達は勿論、新人フォワードたちも実戦可能。予想外の事態に対応できる下地はできてる” 何が起きても大丈夫、はやてが口にした言葉を信じてはいたが機動六課はまだ設立して1ヶ月も経っていない 今から出動するとはいえ初出撃なのでやはりそれなりに時間はかかってしまうかもしれない その間にもし何か予想外の事態が起こったら……その可能性はできるだけ減らしておきたかった。 (それに私もそろそろ彼の実力を見ておきたい……危険かもしれない、けれど彼なら) 〔どうだ、決まったか?〕 〔ファイズ……お願い、できますか?〕 〔ああ、レリックってのを守るんだな? 俺も興味がでてきたぜ〕 どうやらカリムが伝えるはずだったお願い事は巧にはわかっていたらしい。 頼み事を聞き入れた巧は頷いて戦闘態勢を取ろうとするがカリムがそれを引き止める 巧にそこまで任せるには荷が重過ぎると感じ彼の負担を軽くすることにした。 〔それは今からそっちに来る機動六課の仕事よ、あなたはガジェットドローンをできる限り撃墜して!〕 〔わかった、本命の連中が来るまでの間に数を減らせばいいんだな?〕 〔お願いしますファイズ、もし彼らは来ないと思ったら……その時はお願いします〕 〔了解〕 〔……お気をつけて、巧さん〕 〔わかってるよ〕 カリムとの念話を終了させたのを確認し巧はデバイスを右手に握り再び戦闘態勢を取る。 自分が居る場所の周囲を飛び回ってるガジェットドローンを睨みつけながらデバイスを起動。 "Mode Set [Normal Faiz] Standing by!" 「よし、いいぜ!」 起動準備が完了したファイズメモリー――デバイス化したミッションメモリーを握り締め 天を突き上げるかのように高く掲げいつものように単純なキーワードを発する 「変身っ!!」 "Complete!" 言葉に反応し再び音声が鳴り響く。瞬間全身をほぼ黒で統一したバリアジャケットが巧に纏われ ファイズメモリーがバリアジャケットと融合し赤い光が彼を包みこんでいく。 胸部・膝・肘・手・足……より強固な防御力を必要とする部分は銀色に変色。 バリアジャケットに張り巡らされた赤いラインはフォトンストリームに似ている。 それを通路として巧の魔力が全身に行き渡りジャケットの能力を強化。 ――顔こそ仮面に覆われてはいないが、その外見は巧の記憶のファイズをほぼ再現していた。 自分の中の魔力を制御して空中を駆け抜け、飛行型ガジェットの一体に向かい突撃する。 突然のことに反応しそこなったそれに向かって繰り出した拳がそのボディを難なく貫通する。 さらに泳ぐように動いていたもう一体が巧の回転蹴りで形を歪ませ爆発し墜落していった。 巻き起こった爆風と火の粉が巧を包むがバリアジャケットの機能で熱は完全にシャットアウトしている 熱いのが大嫌いな巧にとってはこの機能はとてもありがたいものだった。 そして魔力反応をキャッチした周囲のガジェット群が一時的に巧をターゲットに定める。 (ざっと20~30か……これだけで終わるとは思えないが……) しかしそれでも巧は戦う事に迷わない。まだ魔法を使って1ヶ月だがやることはいつも決まっていた。 どのような力を持ったとしても目の前にいる敵を倒すという目的に変わりはない。 「付け焼き刃の魔法でも、やってやる……!」 巧がしなやかにかつ力強く右腕ごと手首を振り上げたのを合図に巧のデビュー戦の幕が上がる。 周囲に誰も味方がいないいつも通りの孤独な戦いに巧は挑む。 脅える自身を奮い立たせるような雄叫びが空気を切り裂き、聞く者のいない空一面に確かに響いた。 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanoha_data/pages/30.html
トーマ・アヴェニール シグナム ヴェイロン トーマ・アヴェニール アンロック(Record01) プロテクション(Record01) ディバイド・ゼロ(Record01) シルバーバレット(Record04) シルバーハンマー(Record04) ディバイド・ゼロ『エクリプス』(Record10) シルバースターズ『ハンドレッドミリオン』(Record11) シグナム シュランゲバイセン(Record06) 紫電一閃(Record06) ヴェイロン バードショット・シェル(Record04) フレシェット・シェル(Record04) ナパームファング(Record04)
https://w.atwiki.jp/gamekikuchimomoko/pages/39.html
ゴジラEXTRA PLAYING VERSION 機種:ファミコン分類:非売品オリジナル:ゴジラ(1988年) 配布 東宝動画 開発 コンパイル 配布数 100? 市場価格 不明 ☆ファミコン版「ゴジラ」の制作スタッフに配布された物。正確な数は不明。 ☆販売元の東宝動画や制作元のコンパイルのスタッフに配られたバージョンと、公募された一般プログラマーに配られたバージョンの2種類がある。 ☆製品版とは違う外箱がついている。外箱などでは「ゴジラ;EP」という表記がされている。 ☆ゲーム内容も製品版と変更があるようだ。またROMカセットがロックされておらず、簡単にケースを開けられる仕様になっている。 ☆かなりレアなソフトなようで、市場では見かけることがほぼない。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yaruaka/pages/37.html
_ ∠二 `ヽ/´  ̄ ̄ `丶 , '" ̄ 、 \/⌒\ / /. . . . . /. . . . . . . . . . . . . . . . . .ヾ ヘ\. . . . ヽ l //. . /. ./ . ./ . l. . ,'. . { . . . .l. . ヽ. . .Vl / \. . . . ', /. . /. . l . . .!>ト/{. .ハ. . 斗< l . . .l. l. . . . .ヽ. . .l. l. . /. . . .| l. レ仟圷ヽl ヽfチ圷 |. . l |. l. . . . . . . . |. | /!. . . 从. .{. V;;リ V;;リ 'j. .,' |. l. . . . . . . . |. j ハ. . ..Ⅳト .ゝ ' /. /レ|. l. . . . . . . . | \ {ヽ| 小 V 7 彡'. .|│l. . . . . . . . .| ` Ⅵ | ヽ、 ´ ,.イ! . ./ |. l. . . . . . . . | ヾ ゝ ト≧≦ュ| リ/ |. l. . . . . . . . | ____, /| tく |ヽ、____|_l. . . . . . l. .| /ヽ / |/ l只lヘ| l  ̄ヽ. l. | | ヘ ̄ ̄ {____|{{ ハ ]}_j ̄ ̄`メ |. l | | { \ / ∨⌒∨ \ / l |. .l| /ll }\ ∨ \ ,VCV ∠ _∨ | /ハ l| { ]} ン  ̄}__/ ̄`^<_/ /,弖 l {{ } | V__/ / / / /`\r'〃ニフ } V/ | {´ /了 ̄|l / /  ̄ ̄`ヽ ヽ / . | ∨ |l | | / /. . . | ∨ `ヽ、_,| | /. . . . . | \ , イゝ=≧ト、 _/ l. . . . . | 高町なのは。警察に勤務。カップサイズはEカップ。 猫探しの依頼を受けるため警察署を訪れたときに出会った。 ちょっと厨二病が入ってる。 名前 コメント